ギリシャ語由来の言葉・成句
目次
オート
- auto「自分自身」
自己、自動などを意味する。英語のautomatic、およびautomobileの略として用いられる。
サンダル
- sandalion「板」
足全体を覆わず、底とそれを留める紐やバンドで構成される履物。
アスパラガス
- asparagos「たくさん分かれる」
キジカクシ科クサスギカズラ属。和名はオランダキジカクシ。漢字では竜鬚菜、石刁柏。
原義の「たくさん分かれる」から「新芽」、転じてこの植物を指すようになった。
アンタレス
- antares「火星に対抗するもの」
さそり座のα星。赤く明るい星で、火星と接近することがあることから。
antはantiの略で「反対」「対抗」などを意味し、特定の物事を嫌う人のことをいう「アンチ」の語源。
aresはギリシャ神話の軍神アレスのこと。ローマ神話のマルスと同一視され、火星と結びつけられた。
オーケストラ
- orchestra
語源となったオルケストラは、劇場の舞台と客席の間にある半円形のスペースで、合唱隊や楽器奏者が演奏する場所のこと。転じて、そこにいる楽器奏者の集団を指すようになった。
テクネ
- techne「技術」
technic技巧、technology科学技術などの語源。
接頭辞としての形technoでよく使われる。
また、technitosは「人工」を意味し、テクネチウムtechnetiumの語源となった。
アスベスト
- asbest「永久不滅」
和名は石綿。角閃石などが繊維状になったもの。
中国では古代から火浣布(かかんぷ、火で洗える布)と呼ばれた。西洋では火の精霊サラマンダーの皮ともいわれた。
かつては建築材料などに使われていたが、細かい繊維を吸入すると発がん性があるため、「静かな時限爆弾」と呼ばれ、現在は使用禁止されている。
ポリス
- polis
はじめは「都市」を意味し、転じて「都市国家」、「政体」、「市民」などと意味が広がっていった。
もともとakropolis「高いところ」に由来する。アクロポリスはポリスの中心部にある丘のことで、神殿や城砦が築かれた。
「警察」を意味するpoliceの語源となっている。
ノーチラス
- nautilus「水夫」
ラテン語ではオウムガイのことを指す。
よく潜水艦の名前に付けられ、ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万里」でネモ船長の乗る潜水艦や、世界初の原子力潜水艦が知られる。
レソロジカ
- lethilogica「忘れっぽい言葉」
使おうとした言葉が咄嗟に出てこない現象のこと。
ユングが提唱
ギリシャ神話に登場する、その水を飲むと記憶を失う川レーテーに由来する。
舌先現象(TOT現象)も参照。
モノ
- monos「単一の」
派生語として、monochrome「白黒の」、monorail「単軌鉄道」、monolog「独白」、monopoly「独占」など。
オルト/メタ/パラ
- ortho「正規の」
orthodox(正統派)の語源。
化学においては、ベンゼン環上で2つの置換基が隣り合っていること。
- meta「後に」
転じて、「高次の、超越的な」という意味になり、
「創作物であることを創作物内で扱う」ことを指すメタフィクションや、
「現実を越えた仮想空間」であるメタバースなどの派生語がある。
また、化学においては、ベンゼン環上で2つの置換基が炭素原子1つを挟んで隣り合っていること。
- para「反対側に」
parallel(並行)の語源。
オリンピックと並行して行われることから、パラリンピックのことも指す。
また、化学においては、2つの置換基がベンゼン環上の向かい側に位置すること。
メートル
- metron「ものさし」
1791年、北極点から赤道までの子午線距離の1000万分の1と定めるようにフランスが提唱した。
現在では光が1/299792458秒間に進む距離と定義される。
meter(計器)と同語源。
エンタルピー
- enthalpein「温まる」
物質が持つエネルギー(熱量)のこと。
命名者はカマリン・オネス(Kamerlingh Onnes, 1853~1926, 蘭, 科学者, 超伝導の発見者)。
エニグマ
- ainigma「謎めいた言葉」
ナチス・ドイツが用いた暗号機にその名前が付けられている。また、イギリスの作曲家エルガーは「エニグマ変奏曲」を作曲している。
メソポタミア
- Mesopotamia「川と川の間」
ティグリス川とユーフラテス川の間にある地域であることから。
メソポタミア文明は世界四大文明の一つ。シュメール、アッカド、バビロニア、アッシリアなどの王朝が立った。
アクロバット
- akrobates「つま先で歩く者」
akrosの原義は「高い」。ギリシャのポリスのシンボルとなった、神殿や城砦がある丘のことを「アクロポリス(akropolis:高いところ)」という。
フィロソフィー
- philosophia「知を愛する」
ソクラテス、およびその弟子のプラトンが提唱。
philosphyという言葉を「哲学」と訳したのは西周(にし あまね)。
また、博士号Ph.D.のPhはPhilosophyの略。
エウレカ
- eureka
何かを発明・発見したときに使われる感嘆詞。
表記ゆれとしてヘウレーカ、ユーリカ、ユリイカなど。
アルキメデスが、自分が浴槽に入ると自分の体積の分だけ水位が上昇すること(アルキメデスの原理)を発見したとき、「Eureka, eureka!」と叫びながら裸で走っていったという逸話がある。
エポケー
- epokhe「停止・中断」
哲学などで、いったん判断を保留すること。
タウマゼイン
- thaumazein「驚き」
哲学などで、「知的探求の始まりにある驚き」のこと。